マグリット展

国立新美術館で「マグリット展」を見てきた。

ルネ・マグリットは、20世紀美術の巨匠で、
マグリット展のパンフレットでは、
その偉業をこう解説している。

「言葉やイメージ、時間や重力といった、
私たちの思考や行動を規定する“枠”を
飛び超えてみせる独特の芸術世界は、
シュルレアリスムの範囲にとどまらず、
その後のアートやデザインにも大きな影響を与えました」

なんだか芸術の世界の言葉の表現って
小難しいけども、マグリットはとにかく、
ぶっ飛んだスゴい人だと。

昔は絵画って、目の前にあるものを
リアルに描くことが評価されてたんだけども、
1827年に写真が発明されてから、
肖像画の需要が激減し、リアルな絵は不要になった。

それでも芸術のお堅い世界では、
見たままを描ける画が相変わらず評価され続けたことで、
そんなのもうつまらないと反旗を翻したのが、
ゴッホみたいな「印象派」と呼ばれる画家たちだった。

そういった流れがあって、
20世紀に活躍したのが、ピカソやダリ、
マグリットといった、新たな個性の画家だった。

僕が、マグリットの絵を見て感じたのは、
「事実が正しいわけじゃない」ということだった。

例えば現実の世界で、
木の向こうに人がいたら、人の一部は木に隠れる。

でもマグリットは、木の向こうに人がいるのに、
木が人に隠れたりする。

例えば現実の世界で、
青空のもとには、明るい町並みがある。

でもマグリットは、青空のもとに夜の町を描いた。

マグリットは、鳥の中に青空を描いた。

そこにある風景は、正しくない。
でもだから、芸術としておもしろい。

しかも風景はリアルなタッチで描いてるから、
正しくない事実がより際立っていた。

「事実が正しいわけじゃない」という見方って
すごく大事だなぁと気付かされた。

僕は映像や文章を作る仕事をしてるから、特に。

正しいものばかりを追い求める
今の時代だから、特に。

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