初のJ2シーズンスタート

J2清水が2016年シーズンの
新体制発表記者会見を行った。

Jリーグ24年目を、初のJ2で戦う清水は、
1年でのJ1復帰を目指した戦いになる。

そんな今シーズンを戦うクラブの
ビジョンが見えてきたところで、
今シーズンの期待と不安を列挙。

■期待
・主力の多くが残留して戦力をほぼ維持できた
・GKやサイドバックという補強ポイントに
 ピンポイントで戦力の上積みができた
・J2での実績があり、基本を指導できる小林監督が就任した
・クラブの経営規模を落とさず今シーズンを戦える

■不安
・経験値の高い小林監督とはいえ、
 ずっとうまくいっていないディフェンスを立て直せるのか?
・選手同士が厳しく要求し合い、試合中も
 コミュニケーションをとれるようになるのか?
 (これまでいつになっても「次はもっと声を出したい」だった)
・テセ・ウタカは共存できるのか?
・ここ数年うまくいっていない「引いた相手を崩す」ことができるのか?

戦力はJ2でセレッソに次ぐレベルだと思う。
しかもそれが補強じゃなく、
残留で実現できたことが大きい。

ここ2シーズンの大きな問題は、
あらゆる変化が起こりすぎたことだと思う。

2014年途中にゴトビ監督から大榎監督に代わり、
2015年途中は大榎監督から田坂監督に代わった。

こうした変化の中で、まるで紙粘土のつぎはぎのように、
選手が出ては加わり、戦い方も変化した。

スタメンもコロコロ変わり、軸となる選手が分からず、
外国籍選手はフィットせず、
チーム全体での連動性は最後まで見られなかった。

まとまってくっついているように見えるけれど、
衝撃があるとボロボロと崩れる状態になっていた。
練り上げてから作られた塊じゃないから、
脆くて、崩れやすくかった。

今シーズンは、練って作り上げることができるうえ、
造形する職人も、熟練の技を持っている。

ただ、だからといって、
簡単に勝てるもんじゃないのは分かるし、
勝っても昨シーズンの2位・3位争いで、
福岡が勝ちまくっても自動昇格できなかったように、
かなり厳しい戦いになるのは間違いない。

そんな中で、今シーズンの清水の課題は、
僕は「相手を崩せるか?」だと思う。

ここ数年、戦力が落ちてからは、
相手を崩すシーンを見ることは少なくなった。
鮮やかだったのは、ショートカウンターでの得点で、
相手に引かれたとき、攻撃の形を作れずに、
何もできないことが多かった。

ゴトビ監督のもとではサイドで孤立し手詰まりになり、
大榎監督のもとでの繋ぐサッカーはうまくいかず、
田坂監督のもとではクラブの意向からか
フィジカルで押すだけのサッカーになっていた。

最後の精度の低さも問題だったけど、
攻撃の形も、それほどうまく作れていなかった。

今シーズンはシーズン前に戦い方を浸透させて、
偶然に任せるわけじゃない、
意図して点をとれるサッカーをしてほしい。

そして、意図して点のとれるサッカーは、
「観ていておもしろいサッカー」になると思う。

これはそれなりに資金を持ち、
観る人の要求が高い清水では、重要な要素のはず。

追い込まれた昨シーズンの後半は例外で、
内容がつまらなくても、勝ち点を稼ぐサッカーを目指したのは
ひとつの方法だと思ったし、それで失敗したのは、
賭けに出た結果だから、仕方ないとも思ってる。

ただ本来、意図の見えないサッカーは、
オチのない漫才と同じで、退屈極まりないし、
人気が落ちてく要因になる。

だから「負けてもまたスタジアムへ
足を運びたくなるサッカー」が大事だと思う。

勝った試合が楽しいのは当たり前で、
勝ち試合を観られれば、またスタジアムへ行きたいし、
クラブをもっと応援したくなるのは自然。
でも、全部の試合に勝てるわけじゃない。

だから、負けても応援したいと思えるような、
魅力あるサッカーをするクラブになることが大事になる。

別に極端なパスサッカーをしてほしいわけじゃない。
サイドからしつこく攻めるサッカーでもいいし、
カウンターで仕留めるサッカーでもいい。

ただ、J2という戦力で上回れる相手が多いリーグで、
足下の上手い選手が多い清水に合うのは、
放り込みじゃなく、ある程度パスをつなぐサッカーだと思う。

そのためにも、開幕までの2か月足らずで、
しっかりとチームの形にしてほしいと思う。

形にするための“準備の準備”は、
クラブ運営含めて、できているように思えた。

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