「ランニングで人の後ろを走るときは10mあける」という論文について

今、ランニングにまつわる、
海外のある論文がちょっと話題になっている。

「空気力学」の専門家が発表した、
まだ提出段階(査読を受けていない)の論文で、
走る人の飛沫についてシミュレーションされている。

その内容は…

●条件:おだやかな天候で、2人が時速14kmで走る
●結果:時速14.4kmで走る人の後ろ10メートルまでは、
    走っている人の呼吸や咳などで出た飛沫(一部)が残る

さらにウォーキングやサイクリングもシミュレーションし、
担当教授は「人の真後ろを進むときにあける距離」を、こう結論づけた。

●歩くときは4~5mあける
●ランニングや、遅めのサイクリングは10mあける
●人の後ろを速めのサイクリングは20mあける

ちなみに教授は「あくまで空気力学の専門家による論文で、
感染リスクについての論文ではない」と強調している。

この論文、手持ち花火を想像すると、
イメージしやすいかもしれない。

止まっていれば、目の前に火花は落ちる。
歩いていれば、歩いた後ろに火花は落ちる。
走っていれば、火花はもっと後ろに落ちる。

立ち止まっていても、走っていても、
火花が落下するまでの時間は変わらないわけで、
人が動くから、火花と人の距離は離れる。

同じように、飛沫も落ちる距離が離れて、
それだけ他の人が飛沫が漂う空間に入り込む余地が生まれる。

実際はもうちょっと複雑な気流が生まれるわけだけど、
簡単にいえばそんなイメージだと思う。

論文がどう評価されるか分からないけど、
理論的には、確かにそうだろうなと思う。

で、ランニングについて。

ただその前に…ランニングの想定ペースの補足。
時速14.4kmっていうと1km4分10秒で、
フルマラソンでいえば3時間を切る「サブ3」ペース。
しかも、そんな人の後ろに同じペースでついていくなんて、
日常で見たら「選手が練習してるな」と思うレベル。

だから公園を走るランナーの場合、
飛沫が残るのは後ろ10メートルじゃなく、
もうちょっと短いだろうなと思う。

で、この論文から何を学べるか。

ランナーが息をハアハアさせて、
それが飛沫として飛ぶ可能性があること。

だから、すれ違ったり立ち止まる人の横を通るとき、
前の人を追い抜くときなど、距離をしっかりあけること。
追い抜くときは、すぐ人の前に出ないようにすること。

ランナーは飛沫を飛ばしてる自覚をしっかり持って、
走りましょうということを学んだ。

こういう論文をメディアが取り上げると、
条件などは省いて「ジョギングは10メートルあける」という、
キャッチーな部分だけが説明されてしまう。

そして、ランナーが増えている現状があって
「散歩やジョギングも感染させる危険がある」という、
今ヒキがある情報だから、取り上げやすい。

それを受け取った人たちは、
自分がいろいろ自粛しているというのもあって、
正義から「ジョギングは悪だ」と言いたくなってしまう。

人によっては「真後ろ10メートル」じゃなく、
「周り10メートル」と勘違いしてしまう。

だから、走る側はどう良くないのか読み解いて、
周りに配慮しながら走ることが大事かと。

※追記:論文の内容はこちら。Google翻訳的にこれで合ってるはず…。
2人が併走するとき、距離を置くのは重要じゃなくて
 飛沫は後ろに落ちる(The droplets land behind the duo.)という記述あり

検証したランニングのペースが
 「10m for running fast (14.4 km/h)」と記述あり

正直なところ、過剰な配慮だとは思う。

自分が知らずにウイルスを持っていると想定して、
屋外で、息として出るわずかな飛沫を、
数秒接近する人に対して気にすることは、
感染の可能性を考えたら、やりすぎだと思う。

世の中の感染リスクとしてはかなり低くて、
それよりも、エレベーターのボタンを1回押すとか、
買い物かごを持つ方が、遥かに感染リスクは高い。
マスクを外すとき、外側を触る方が危ない。

それでも、ジョギングで配慮した方がいいのは、
すれ違う人の嫌悪感や恐怖心を減らすため。
そして「身勝手なランナーがいる」といった
つまらない話題で、メディアのネタにならないため。

そもそも走らずに生きている人の方が多い世の中で、
走ることは不要不急だから、
走る側は、過剰でも配慮した方がいい。

そこまで過剰にやらなくても…という不満は、
走ればスッキリするわけだから。

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