雪をなめていた

船橋のIKEAへ。

引越し後、早く家具を揃えないとと
焦りが出ちゃって、
大雪警報を振り切って、行っちゃった。

家を出てIKEAに着くまで、
雪で電車が動いたり止まったりで、
かかった時間は普段の倍。

その時点で行くのをやめればよかったのに、
僕ら2人とも雪を完全になめていた。

そんな天気だから、
もちろんIKEAはガラガラ。

いたのはカーペットを買う2人組の男など、数えるほど。
そして普段は21時まで営業してるとこを、
遅くになるとお客様の安全確保ができないっていう理由で、
19時半閉店のアナウンスが流れた。

急いで選んで、カートに積みまくって、
閉店ギリギリにレジへ。

買ったものはすべて配送することに。
手続きを済ませて、
IKEAを出た時点で20時近く。

外は吹雪。

カーペットを選んでた2人組の男は、
カーペットを2人で持って、
IKEAの外で作戦を練ってた。

IKEAから目と鼻の先にある、
JR京葉線の南船橋駅は
京葉線のストップで電車が動かず。

タクシー乗り場には、
一向に来ないタクシーを待つ行列が。

駅のアナウンスも
電車運転再開のメドが立たないってことで、
とりあえずその時点でまだ動いてた、
京急本線の船橋競馬場駅方面へ。

ところが吹雪は、歩く道も体力も奪った。
歩道橋は、まるでラージヒル。
歩道が雪で埋まって、歩けない。
そして顔へビンタされてるかのように、
全力でぶつかってくる雪。

僕ら2人は、
まるで遭難したかのような状態だった。

そうして1.6キロの道のりを歩き、
やっと着いた船橋競馬場駅も、
着いたころには電車が動いてなくて。

絶望感の中、唯一の光は、
もう1.6キロ先に駅がある総武線。
動いたり止まったりを繰り返してた。

ただ、ここでもタクシーは拾えず、
再び歩くことに。

1.6キロの遠さを知ってるだけに、
なかなか踏ん切りがつかなかったけど、
それしか方法がなかった。

意を決して、東船橋駅方面へ。

ただその前に、あまりにも寒かったから、
船橋競馬場駅を出てすぐのコンビニで、
まずは温かいものを買って食べた。

そしてさあ出発しようとしたそのとき、
地元の人が地図を持ってる人に
「東船橋駅の途中まで案内しますよ」
って話す声が聞こえた。

「一緒にいいですか?」と聞くと、
「ああいいですよ」との答え。
温かすぎる言葉に、便乗させてもらうことに。

地元の人の先導で、
吹雪の中、雪深い道を歩いていくと、
道が分からなくなった数名が彷徨ってた。

「おーい!そっちじゃないよ!」
「えーっ!そうなの!?」
「こっちこっち!一緒に行きましょう!」

遭難した人を救助してるかのようなやりとり。

結果、パーティーは10人前後に。
連なって歩いてく様は、
雪山を下ってるかのような雰囲気。

ただ2人で歩いてた最初のときより、
時間が経つのがずっと短かった。

相変わらずの吹雪だったけど、
苦しさはなく、東船橋駅に到着した。

そのとき総武線は
一時的に動いてなかったけど、
20~30分後に運転再開のアナウンス。

IKEAを出てから約2時間が経っていた。

そして駅のホームに降りると、
なんとそこには、
IKEAのカーペットを持った2人組の男がいた。

ここまで歩いて運んできたのか!!

買ったものをすべて配送した僕らは、
なんだか感動してた。

そして23時、帰宅。

それはもう反省しきりで、
二度とこんな軽率なことはするまいと誓った。

「ぜんぶ雪のせいだ」とか、
間違っても雪のせいにはできない。

自分たちがいけなかったな、と。

するとそのとき、
雪が降らない実家で暮らす、
母親からメールが届いた。

「静岡は雪が降らなかったよ。
 楽しみにしてたのに(T_T)」

どっと疲れが出たのを感じた。

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