2016 J3 第26節 FC東京U-23×長野 久保建英デビュー戦を観戦

2016明治安田生命J3リーグ第28節、
FC東京U-23×AC長野パルセイロの試合を、
駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場で観戦した。

スペインの名門・FCバルセロナから
FC東京U-18へ加入した
中学生・久保建英のJ3デビュー戦。

代表選並みの報道陣182人を集め、
キリンが急きょマッチスポンサーについた試合。

これまでFC東京U-23の
平均観客数が2千人台という中、
7653人の観客が集まるほど注目を集めた。

この試合、スカパーで見ようと思っていた。
でも、試合が始まる10分前になって
我慢できなくなって家を出た。

スタジアムの雰囲気はどうなのか、
観客はどんなテンションで久保を見て、
どんな反応をするのか。

テレビは「盛り上がりました」とか言って、
楽しげに伝えるだけで信用ならない。
リアルな空気を知りたかった。

まあ将来、「バルセロナの久保っているでしょ?
デビュー戦はこんな感じだったんだよ」と、
いつか言いたいという本音はさておき。

■久保がピッチに登場

スタジアムに着いたのは、
後半が始まる直前だった。

ゴール裏には、カメラマンの列。

逆側のゴール裏はこんな感じ。

その違いを見て、後半はFC東京U-23が
どっちに攻めるのか把握。
久保が攻める側のゴール近くに座った。

すると、サブに入っていた久保が、
ちょうど後半の頭からピッチに登場した。


たぶん数か月前の写真

■久保のプレーについて

大きな拍手と、大きな期待の中で
ピッチに立った久保は、
積極的にボールを要求していた。

最大の見せどころは82分、
左サイド深くから、ゴールに向かって
ドリブルで突破したシーン。
相手をかわしたもののラストパスが
味方に通らず、得点にはつながらなかったものの、
観客が大きく沸いたシーンだった。

ただ、ボールに触れる回数は少なく、
ボールを受ける前にカットされたり、
体をぶつけられて奪われるシーンも多かった。

ボールさばきは巧かったけれど、
活躍したとは言いづらい45分間。

当然の結果だったと思う。

まだ体ができていない中学生が、
J3とはいえ長野という上位クラブの大人相手に、
デビュー戦で活躍できるほど簡単なものじゃない。

体の強さの違い、スピードの違い、
そしてデビュー戦の緊張感。

さらにFC東京U-23全体のクオリティが、
長野よりも高くはなかったから、
活躍しづらいゲームでもあった。

今回は、大人のゲームに触れることで、
久保に違いを感じてもらうための
“慣らし”だろうから、これでいいと思う。

そして久保がこの試合の自己採点を
「20点とか15点」と言ったように、
誰よりも、本人がこの試合を冷静に見ている。

J3とはいえ相手は完全な大人なわけで、
体ができるまではあまり無理せず、
たまにU-23の試合で感覚を養いつつ、
フィジカルが整うまでは高校生の試合に出場させて、
じっくりと育ててあげられるといいなと思った。

元日本代表だった市川大祐は、
高校2年の終わりにJリーグデビューし、
その直後に日韓戦に出場したころ、
まだ体ができていないということで、
清水のアルディレス監督は、
90分間使わない方針をとっていたという。

それでもケガの多いサッカー人生を送ったわけで、
早過ぎるデビューとの相関関係は分からないけれど、
慎重になった方がいいのかもしれない。

■この試合で輝いていた16歳・平川

ちなみにそんな試合で、
輝きを放っていた選手がいた。

それは前節に16歳6か月の史上最年少で
Jの試合に出場し、6日後の今日、
その記録を塗り替えられた、高校1年生の平川怜。

この前のAFC・U-16選手権で、
サッカー関係者の間では
久保並みに注目を集めていたという逸材。

ボールキープを持つときの体の使い方、
ボールの置き所の良さがみごとで、
相手がなかなかボールを取れなかった。

バルサでプレーすることが夢で、
イニエスタを目標とする16歳の平川。
確かにイニエスタっぽい身のこなしで、
大人に混じっても十分通用していた。

レベルの突き抜けた選手は、
周りのレベルが低いと、難しい面もあるはず。
そんな中、レベルの高い選手が近くにいると、
お互いに向上心を落とさずいられると思う。

久保がFC東京へ入ったことは、
平川にとっても、久保にとっても、
良かったんじゃないかと思った。

■最後に…

久保がFC東京で良かったんだろうなと
思うことがもうひとつあった。

それは帰り道、FC東京のユニフォームを
着た人たちが、こんなことを言っていた。

「駒沢にこんな人が入るの、見たことない」

「観客がたくさん入ったから、
 (初めて来た人がリピーターになってくれるように)
 勝ち試合を見せたかった」

そして女性サポからは、こんな現実的な意見も。

「入場料が1500円~2000円だから、
 5000人増えたってことは、クラブの収入が
 800万円とか900万円増えたってことでしょ。
 久保くんマネーありがたいね」

過剰な期待が集まる久保に、
東京という土地は、合ってる気がする。


14番・平川と50番・久保

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