通っている個人経営の美容室へ。
コロナ禍で4席のうち1席しか使わず、
同時に店内にいる客は1人だけ。
そんな状況で、アシスタント2人に店を辞めてもらい、
すべてを美容師1人がやりくりしている。
アシスタントの1人は、
もともと働いていた別の業界に転職した。
美容師は
「彼は辞めて良かったのかもしれない」と言った。
アシスタントをやりながら、
美容師として働くこともできたはずが、
客を呼ぶことはなく、アシスタント止まり。
人脈がありながら「ぜひ来てください」の営業ができず、
ここ数年でカットの回数は数えるほど。
ペーパードライバーの運転以上に、
カット技術は錆び、美容師として行き詰っていたらしい。
コロナ禍は、基本的に悪いことだらけで、
アシスタントが店を辞めたのも残念だったと思う。
ただ、自分がやりたいことを本気でやっているか、
目標へ向けて自分ができることをやっているか、
正しい努力ができているか、
自分の弱い部分を気付かせてくれる。
中途半端にやっていることを、諦めさせてくれる。
諦めない美学もあるし、
その先に成功があったりもする。
ただ、その先に幸せがあるとは限らなくて、
成功があったとしてそれは偶然の割合が大きくて、
「好きなことをして生きる」という理想では生きられない。
美容師が言った
「彼は辞めて良かったのかもしれない」
という言葉は、辞めさせたことを正当化したわけじゃなく、
実際そうなんだろうと思った。
コロナ禍の美容室で、少し考えさせられた。