ブラジルW杯 日本のグループステージ敗退に思う

■「自分たちのサッカー」を貫いて良かったと思う

ブラジルワールドカップ、
日本は1分2敗でグループリーグ敗退。

前回の南アフリカ大会では「ベスト16」という、
自国開催の日韓大会以来の結果を残した。

自国開催は勝ち上がりやすいから、
純粋に日本が世界に通用した
初めての大会が前回の南ア大会だった。

それが今回、グループステージ敗退ってことで、
日本は後退したと見えるかもしれない。

攻撃的なサッカーを貫かずに、
前回のような現実的な戦い方の方が、
良かったんじゃないかという意見も分かる。

でも、僕はこの戦い方で良かったと思う。

攻撃的な「自分たちのサッカー」を
貫こうとして力負けしたことは、
日本が一歩進むためには、
必要なことだったんじゃないかと。

未熟な日本サッカー界が、
急成長をしようとする中での
「成長痛」みたいなものだったと思う。

■答えを得られたことの大きさ

前回大会、守りを固めたことで、
自国開催の2002年以来の
ベスト16という結果を残した。

「ベスト16で満足した」前回から、
今回はさらに上を目指した時点で、
前回大会は、一歩進めた大会だったと思う。

そして今大会、前回大会と違って、
「自分たちのサッカーで勝ち上がる」という、
一歩進んだ目標を持って臨んだ。

前回大会は、大会直前に結果が出なかったことで、
前から奪って素早く攻守を切り替える戦術から、
引いて守る戦術へと方向転換した。

ちなみにこれは大会直前の
2010年5月27日に行われた、
選手たちが開いたミーティングで言った、
田中マルクス闘莉王の言葉がきっかけだったという。

「俺たちは弱い。
 南アで戦う32か国の中で下から何番目だ。
 パスをつなげないなら、引いて守ったっていいんだ」

この翌日、ミーティング内容を聞いた
岡田監督が、ラインを下げて
守備的に戦う方向へシフトチェンジ。
そうして大会ではベスト16という結果を残した。

シフトチェンジは、成功だった。
日本の実力的に、正しいシフトチェンジだった。

でも終わったとき、なんだか空虚感があった。

それまでの4年間を費やして
作り上げてきたサッカーが平地になって、
プレハブ小屋のように急きょ建てられた
守備的なサッカーは、貧相で退屈だった。

そして結果、この4年間で知りたかった、
次へ進むための答えが出なかった。

「もし攻撃的に戦っていたら、
 日本は通用したのか?」

その答えを手に入れるために、
ワールドカップで今まで通りの戦い方を
貫いたというのは、大きいと思う。

パワープレイをしたり、
ほとんど練習していないポジションで、
選手を起用したりして、
本当に貫けたかというと微妙だけど、
「引いて守る」という選択肢を選ばなかった。

「日本は攻撃的に戦ったら通用しなかった」

そんな答えを得られたことは、
良かったんじゃないかと思う。

■大事なのはこれからの過ごし方

もちろん、負けて得るものはない。

でも、負けたあとの過ごし方で、
たくさんのことを得られる。

日本には、まだまだ
あらゆることが足りない。
結果も内容も、すべてが及ばなかった。

今回分かった世界との差、
具体的に何が足りないかという答えが、
選手たちをもっともっと成長させていく。
日本サッカー界を大人にさせていく。

それは、次の世代をも成長させる。

例えば、今大会を見たサッカー少年は、
「日本の選手は1対1で負けてる」
と強く感じたかもしれない。

どうやって相手を抜いて、
どうやってシュートを決めるか、
それを強く意識して練習する少年が、
負けた瞬間から増えているかもしれない。

10年後、15年後、そのサッカー少年が、
ワールドカップの舞台に立ったとき、
日本は個の力で相手を上回っているかもしれない。

日本に足りないものが、分かった大会。
その意味は、これからの取り組み次第で、
計り知れないほど大きいと思う。

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