高校野球の投球数問題について

甲子園で準優勝した金足農業のピッチャー・吉田が、
決勝までの14日間で、6試合を881球投げた。

この投球数と間隔にやっぱり賛否が出ていて、
将来ある選手を酷使するのは良くないから、
球数制限を導入しようという意見が噴出。

これまで何度も問題視されてきた球数問題が、
解決しないまま、また問題となっている。

そもそも現代の医学では
「ピッチャーの肩は消耗品」というのが常識で、
酷使で選手が壊れる危険は高まる。

「タバコを吸っても90歳まで元気に生きている人が
 たくさんいるから、タバコを吸っても健康に問題がない」
というのがおかしな理論であるように、
肩を酷使すれば、確率として肩は壊れやすくなる。

だから「球数制限をすべき」が正論で、
僕もずっとその意見だった。
球数制限のない高校野球は、非常識でしかない。

ただ、その非常識がなくなったら、
野球界はどうなるか考えたとき、
難しい話なんだろうなとも思い始めている。

なぜなら、野球界にとって、
高校野球でスターが生まれるというプラス面は、
酷使で選手が壊れるマイナス面を上回るから。

高校野球は、野球界を盛り上げるための
「プロモーションの場」でもあると思う。

高校野球で盛り上がっている人の多くが、
高校野球の選手たちに求めているのは、ドラマ。

人は夢を追っていたり、困難に立ち向かいながら、
ジャンプ漫画みたいに「友情・努力・勝利」を目指す姿を
応援したくなるわけで、それが高校野球は分かりやすい。

そしてドラマの続きを、プロ野球で追うことになる。

だから、高校野球で誕生したスターが、
プロで活躍する流れこそが、日本の野球界には必須で、
それがなくなると、野球界は盛り上がりにくくなる。

野球が世界的なメジャースポーツじゃない分、
プロになったあとの「夢」が、
日本代表として世界の頂点に立つことじゃないから、
高校野球は、スターを生む大事な機会。

それを考えると野球界は、球数制限をするという
「ど正論」を、受け入れにくいんじゃないだろうか。

プロ野球側としても、世間の声を考えると
「球数制限をした方がいい」と言うかもしれないけど、
本心は、そうでもないんじゃないかと思う。

興行としては、スターが生まれた方がいい。

僕は、そんな野球界が嫌いだけれど、
そうなっちゃうのが仕方ないのも理解はできる。

ただ、社会は変わってきているから、
このままというわけにはいかないだろうけど。

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