夏の甲子園が開幕。
投手の球数制限問題を抱えながら、
野球界の大イベントがスタートした。
その球数制限の問題。
夏の高校野球で勝つのが目標か、
プロに入って活躍するのが目標かという、
選手の思いの違いによる難しさはあるとして。
もうひとつ、今日書いておきたいのは、
球数制限が「野球人気」に影響を及ぼしそうなだけに、
野球界の超難題なんじゃないかということ。
普通のスポーツであれば、
絶対に球数制限はすべきだし、
未来ある投手を酷使するなんてありえない。
これまで甲子園で活躍した投手のいくらかが、
肩の酷使のため、野球人生を棒に振った事実がある。
普通の感覚なら、球数制限は当然だと思う。
一方で、野球人気が維持されてきた要因のひとつに、
高校野球で酷使され、それでも活躍したスターの存在がある。
高校野球は、野球界で選手の顔を売る場になっている。
もちろん地域密着の時代になってきて、
各球団の経営努力は大きいけれど、
高校野球で生まれたスター選手の存在によって、
プロ野球はメディア露出を増やすことができ、
球団を持つ企業にとっての旨みが生み出されてきた。
つまり球数制限をすれば、
才能ある投手が潰れずプロ野球でも活躍しやすくなる代わりに、
才能ある投手がスターになることなく、
一般の人がプロ野球に興味を持つきっかけが失われる可能性がある。
高校球児の未来を潰さない代わりに、
野球界の未来が潰れていく可能性がある。
つまり極端な話、高校球児の未来も潰れる可能性がある。
今、地上波で中継されるプロ野球は視聴率が低い。
しかも65歳以上の視聴者が多くを占めるため、
プロ野球を扱いたがらない番組が多い。
球場の客入りは良く、BSやネット中継が人気とはいえ、
日本代表戦がほとんどないため、
一般の人は野球との接点がかなり減っている。
だからこそ、一般の人も興味を持つ甲子園で
スターが生まれなくなってしまうのは、
プロ野球界にとっては困るんじゃないかと思う。
犠牲者が出続けていても、重い腰を上げにくい。
まあ、高校野球とプロ野球が一枚岩じゃないから、
スターがどうとかは、小さな問題かもしれないけれど。
解決すべき問題は、もっとあるんだろうけれど。