今年7月の東京五輪開催が、
世界的な新型コロナウイルス感染拡大で、
かなり難しい状況になっている。
今、国と国を移動する渡航が各国で制限され、
世界中でスポーツが延期や中止。
その結果、五輪予選もストップしている。
7月になれば、
今ほど悲観的な世の中じゃないかもしれないし、
薬が開発されているのかもしれないけれど、
今のところは感染拡大が続いている。
世の中は、オリンピックどころじゃない。
巨大ビルのワンフロアが
五輪準備室になっている電通も、
元の状態には戻っていない。
近代オリンピックの父・クーベルタン男爵は、
オリンピックのシンボルになった、
五輪のマークを考案した。
青、黄、黒、緑、赤の5つの色は、
下地になっている白を加えると、
世界の国旗のほとんどを描けるから選ばれたという。
そしてオリンピックのあるべき姿“オリンピズム”として…
「スポーツを通して心身を向上させ、
さらには文化・国籍など様々な差異を超え、
友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって理解し合うことで、
平和でよりよい世界の実現に貢献する」
と提唱した。(JOC公式サイトより)
このオリンピズムの精神を考えると、
世界的に流行している感染症で、
参加できない国や地域が出てしまう状況では、
オリンピックは開催できない。
とはいえ、巨額のスポンサー料が動き、
さまざまな企業が絡むようになっている今、
オリンピックを延期する判断は、IOCには簡単にできない。
延期となると、大事なスポンサーに、
かなりのお金と時間を、追加で負担させてしまう。
例えばスポンサー各社がオリンピックを最大限に利用し、
広告やキャンペーンを展開している。
延期になれば、スポンサーにとっては、
かなりの追加費用が発生する。
新たな創作物の製作費、夏以降の広告費用、
それらの展開を考えるための時間などなど。
1年以上の延期になれば「TOKYO 2020」という、
今となっては厄介な西暦も入っているから、
グッズやロゴが入ったあらゆる物も、使えなくなる。
IOCは、五輪のマラソンを東京から札幌に変えるような、
スポンサー以外が困ることは簡単に決められても、
スポンサーが困ることは簡単に決められない。
中止は、オリンピズムの精神としても、
スポンサーを考えても、ありえない。
延期は、スポンサーを考えると選びたくない選択肢で、
決断するにしても、調整に時間がかかる。
だから「開催」と言って、
時間稼ぎをしているとしか思えない。
今回挙げたのは、延期をすぐに判断できない
たくさんある理由のひとつだと思う。
もっと大きな放映権も含め、お金がらみの調整は時間がかかる。
スポンサーで懐を温め、
オリンピズムで着飾っているIOCが、
いつの段階で、どんな判断を下すのか。
IOCはとりあえず、
「世の中がこんなだけど、予定通り開催したいんです!
判断は、もうちょっとだけ待ってください!」
くらいのことを言ってから、考えてほしい。