J1最終節、清水はホーム最終戦で
C大阪と対戦し、2-1で逆転勝利した。
引き分け以上で、自力での残留が決まるこの試合、
オウンゴールで先制されたものの、
前半終了間際のいい時間帯に、
西澤のコーナーキックに鈴木義が合わせて同点、
さらに後半早い時間帯に西澤の強烈な左足ミドルが
ゴール右隅に突き刺さって逆転。
守備でも相手のシュートを3本に抑え、
そのままタイムアップで残留が決定。
平岡監督交代後4試合で3勝1分けの負けなし、
シーズンの最後を怒涛の3連勝で締め、
なんと3年ぶり!の3連勝。
最終的に柏を抜いて、2021年シーズンは
降格圏の17位の3つ上、14位でフィニッシュした。
ボウリングでガターを連発して全然点が伸びなかったのが、
最後の第10フレームで3連続ストライクで、
100点届いた、みたいな終わり方だった。
見ている側としては、同じ時間に試合が始まった
残留争いのライバル・徳島が前半11分までに2失点、
負けても残留できそうという中で進んだ試合。
だから見る側は、前半で失点しても余裕というか、
降格の恐怖を感じずに見ることができた。
ただ、ピッチ上の選手にはその情報は伝えられていなかったそうで、
自信を持てずプレーしていれば、縮こまったり、
反撃の精度が落ちてしまいかねない状況だった。
でも選手たちはここ3試合で積み上げた自信からか、
堂々とした戦いぶりで最終的に逆転。
今やっているサッカーに、手ごたえがあったんだと思う。
残り4試合での監督交代という賭けに勝った瞬間だった。
シーズンとしては、負けたわけだけど。
一方で、この試合に至るまでには、危うさもあった。
浦和に勝って2連勝し、残留が見えてきた水曜の練習中、
どこか緩んでいた空気を察知した奥井が
「こういう練習はやめよう。もう一回気を引き締めてやっていこう」と、
チームを引き締めたという。
クラブに流れる空気というのは、
チームの順位や、ケガの有無を左右させるもの。
以前にある別のクラブで起きていたのが、
練習が午後から行われ、監督も厳しくなかったことで、
選手たちの意識の低さもあり、自己管理がおろそかになり、
パフォーマンスが落ち、ケガする選手も増えたという。
クラブの予算規模が大きいからといって、
いい選手が集まったからといって、
結果が出るわけじゃないのは、クラブの空気によるところはあるはず。
清水は真面目な選手が多いはずで、
なんとなく流れる遠慮した空気なのか、
監督が言うことをこなす従順さなのかを改善しない限り、
うまくいかなくなると抜け出せなくなりがちだし、
どんなに監督が変わってもうまくいきにくい。
という中で、来シーズン、新体制はどうなるのか。
2年連続でみごとなリリーフ登板をした
平岡監督に、先発を託したくなる。
昨シーズンはクラモフスキー監督のあと、
失点が多いことで攻撃も機能しなくなったチームを、
守備を整えることで戦えるチームにした。
今シーズンはロティーナ監督が守備を整えたものの、
攻撃に迫力は出ず、そのうち守備もうまくいかなくなり、
攻撃を受け続けていたチームに、
自由を与えることなどで攻撃のスピードを上げ、守備も整えた。
どちらも修正という能力が発揮されたわけだけど、
攻守にそれぞれ思想を持つ2人の監督のもと、
きっと監督としての学びを得たはずで、
いいチームを作る可能性はあると思う。
そして、平岡監督の積極的な声出し。
これが選手たちのコミュニケーションを促せるのなら。
選手たちの引き締めや、積極性に結び付くのなら。
本当は自主性に任せられるのが理想だけど、
まずは平岡監督の声で、クラブの空気を変えるのがベターかと。
どんな戦術を持つ監督を連れてきてもうまくいかない中、
コミュニケーションを促せる監督が、適任なのかもしれない。