2015年シーズンのJ1開幕戦。
1stステージ(懐かしい響き!)第1節、
清水はホームで鹿島と対戦し、3-1で勝利した。
全体がハードワークをする、
守備と攻撃が連動した献身的なサッカーで、
ショートカウンターが決まるなど、
狙い通りの形で得点を重ねた清水。
ホームで迎えた開幕戦は、J開幕から今日が10回目。
そしてホーム開幕戦としては、
クラブ史上初の前売り券完売だった試合に、
最高に気持ちいい勝ちっぷりを見せてくれた。
3か月前、2014年シーズンの最終節も、
今日と同じ、満員のアイスタでの試合だった。
でも、3か月前とは何もかもが違っていた。
J1残留をかけた昨シーズンの最終節、
試合は防戦一方で、苦しそうに試合を進め、
全体の動きも、選手の表情もすこぶる硬かった。
ワクワク感なんて、どこにもない。
恐怖感、ドキドキ感、ヒリヒリ感。
それをスリルと呼ぶこともできるけど、
二度と味わいたくない、えぐみのある試合だった。
『絶望』を間近に感じて、試合を見ていた。
そこにあったのは『ドキュメント』だった。
それが今日の2015年シーズン開幕戦は、
ワクワク感でいっぱいの、楽しいスリルで溢れていた。
今日感じていたのは『希望』だった。
そこにあったのは『エンターテインメント』だった。
パスがそれほどつながってたわけじゃないし、
クロスの精度も低かった。
失点につながりそうなミスもそれなりにあった。
そういう意味でのパフォーマンスは、低調だった。
でも、選手たちは献身的にプレーし、
球際に激しくいき、最後まで戦い続け、
そして楽しそうにピッチを駆けまわっていた。
必死に戦っていたのは、
昨シーズン最終節と同じだったけど、
必死のベクトルがプラスの方向だった。
だから試合が面白かった。
熱かった。熱くなった。
いい内容の試合だと思えた。
そんな試合を実現できていたのは、
「走れていた」からっていうのが大きいと思う。
満員のスタジアムでの開幕戦で、
テンションが高かったから、
いつも以上にガツガツいけてたのはあると思うけど、
毎試合これだけ走れたら、
昨シーズンみたいな順位では終わらないと思う。
そして、走ってボールにいけていたのは、
大榎監督の戦術が、どのくらいか浸透してきて、
チームとして戦えるようになってきたからだと思う。
どれだけ走れる体力があっても、
戦術が浸透してなかったら、
迷いが生まれて、動き出しが遅れてしまう。
清水がそうならなかったのは、
鹿島の攻撃が単調だったのはありつつも、
清水のチーム全体が戦い方を共有しつつある
証拠なんじゃないかと思う。
まだまだ攻撃でのコンビネーションのように、
できてない連携部分も多いけれど、
とりあえず土台ができつつあるのは良かった。
それにコンビネーションがまだまだでも、
今日くらい球際で戦えれば、
ある程度、チャンスを作れる感じもしてる。
引かれたときにどうするかっていう課題はあるけれど、
長澤の強さや、デューク、ウタカの個人能力が、
それを一時的に解決する可能性もある。
そして選手たちはこの1勝で、
監督を、自分たちを、信じられると思う。
昨シーズンの残留争いを経て、
プレシーズンマッチでもイマイチだった中、
発展途上の若いチームが、
こういう勝利を収めたのは大きいと思う。
これからシーズンを戦ううえで、
「拠りどころ」を見つけた試合だったと思う。