第98回全国高等学校サッカー選手権決勝、
静岡学園が青森山田を下して、優勝を果たした。
青森山田のフィジカルと素早いプレスに手こずり、
前半に2点を奪われた静学だったものの、
徐々にボールを回せるようになると、
前半終了間際に1点を返して後半へ。
後半は静学ペースで試合が進み、
持ち前のボール回しと積極的なドリブルで翻弄、
みごとな突破とセットプレーで2点差を逆転。
1996年に決勝が行われた大会で
静学が鹿実と両校優勝して以来、
静岡県勢として、24年ぶりの優勝を成し遂げた。
青森山田は、縦への速い攻撃とセットプレー、
強靭なフィジカルを武器に、
部活サッカーの良さが全面に出た強さを見せた。
Jリーグのユースチームも参加している
高校年代最高峰の「U-18サッカープレミアリーグ」で、
今年度優勝しているだけのことはあった。
一方の静学のサッカーは、
「川崎フロンターレU-18静岡」といった感じ。
応援が川崎のチャントということじゃなく
(清水の勝ちロコの「優勝ロコ」はやってくれたけど)
サッカーのスタイルが川崎。
これまでも静学といえば、
パスやドリブルでゴール前まで運んでいたけれど、
ゴール前で詰まるシーンが多く、
見てるとイライラすることも…
でも今大会を見ると、現代のサッカーへと変貌。
選手同士の距離感が良く、
ハードワークで攻守の切り替えが格段に速くなり、
松村など突破できる選手がしっかりいることで、
破壊力と強さが増していた。
静学が掲げる「見る人を魅了するサッカー」は、
魅了すること自体が目的ではなく、
実際はゴールを奪うための手段になっていた。
結果としては静学が優勝したけれど、
2チームに共通するのは、コンセプトがハッキリしていて、
選手たちが同じ認識でサッカーをしていること。
それぞれの意図が見えて面白かった。
意図が見えないサッカーを見てるときほど
苦痛なものはないことを、
代表戦でもJの試合でも見続けているだけに…
特にこの試合は面白かった。
高校サッカーの青春ドラマとしてじゃなく、
サッカーとして面白かった。
高校サッカーの視聴者は子どもがそれなりに多いから、
明日から静学みたいにドリブルしまくる子どもや、
パスしたらすぐ奪い返しに行く子どもが発生すると思う。
青森山田みたいにロングスローする子どもも絶対いる。
2019年、高校年代が年間チャンピオンを決める戦い
「U-18プレミアリーグ」を青森山田が制したとはいえ、
東西プレミア20チーム中、高校は6チーム。
あとはJリーグの下部組織が占めている。
それでも高校サッカー選手権は
高校年代で最も注目される大会で、
決勝でこんなにも魅力的な戦いが繰り広げられた。
日本サッカー界の選手育成は、
クラブチームと部活動という両輪で、
多様性のある、日本独自の進化をしている。
同じ民族の多い日本で、サッカーに多様性があることは、
いろんな才能が生まれる土壌として、優れていると思う。
そんなうれしさがあった、決勝戦だった。
ま、静岡県民にとって、
静学優勝が、一番の喜びだけども。