東京オリンピック・パラリンピックで、
1都3県の無観客開催が決定した。
逃げたんだな、と思った。
組織委員会の会見によると、
国内のスポーツイベントの多くが観客を動員している中、
オリンピック・パラリンピックが無観客の理由は
「チケット保有者が全国にいて、いくつもの競技を同時並行的に行っている。
オリンピックの人流の大きさは、他のスポーツイベントと比べものにならない」
とのことだった。
でも、その根拠を示していない。
人流というそれっぽい言葉で、説明しきれてはいない。
チケット保有者のうち何万人に都道府県をまたぐ移動があり、
その都道府県をまたぐ移動のリスクはどのくらいあるのか。
どういう行動が、移動したときの感染リスクの上位なのか。
推測ができるはずだけど、示してくれない。
というか、組織委員会は観客を入れたい側。
根拠を示すことに興味がないのかもしれない。
去年、プロ野球とJリーグで通算1794試合、700万人以上を動員。
観戦後に発覚した陽性者はJリーグは4人、NPBは2人だったという。
感染防止対策をしてスタジアムを訪れる感染リスクは、
だいぶ低いというのが、組織委員会の出せる情報。
じゃあ無観客の決定を下したとされる
小池都知事が何か示したかといえば、それもない。
「都民の命と健康を守る」で、説明しきれているはずがない。
だから、逃げたんだなと思った。
有観客にして、その時期に感染拡大したり、
地方での陽性者数が増えたら、
それが有観客と関係なくても、確実に問題になる。
でも無観客にすれば、感染拡大があっても、
少なくとも観客を入れない手は打ったと思われるし、
陽性者が減れば、無観客の効果だと言うこともできる。
それに無観客に世論が傾いている今、
批判は生まれにくい。
つまり負けがない賭け。
どちらにせよ、判断は正しかったと言える。
失ったものがあっても、失ったものは見えない。
…と、五輪チケットを全落選した僕にとっては
無観客だったとしても影響はないし、
無観客が生む「静寂」は日本らしさでもあって、
それはそれで大会の色になると思うけれど、
普段から観客が入っているスポーツイベントを見ているから、
なぜできないのか、ただただ理解できなかった。