東京オリンピックのサッカー男子3位決定戦、
日本はメキシコに1-3で敗れ、
今大会もメダル獲得はできなかった。
お互い、疲労でどうにもならなかった中、
チーム力として、メキシコの方が上だった。
真夏に中2日の6連戦。
日本の直近2試合は延長になり120分の戦い。
組織よりも個でなんとかしてきた日本は、
疲弊したことで、個の打開や守りに精彩を欠き、
メキシコというしっかりしたチームにやられた。
これはA代表とも共通する問題で、
選手任せのサッカーの限界だったと思う。
その試合後、多くの人の胸を締め付けたシーンがあった。
それは、久保建英選手がむせび泣く姿。
負けたことへの悔しさ、自分への不甲斐なさ、
チームを引っ張る責任感…本心は分からない。
ただこの姿を見た人は、
久保選手を応援したくなったんじゃないかと思う。
すでに世界の舞台で戦っている20歳は、
プレーではズバ抜けたセンスを持ち、
インタビューでは淡々と冷静に的確な言葉を発する。
完ぺきな人間といった印象が強い。
そんな人間が、負けて誰よりも号泣した。
それはサッカー少年の顔のように見えたし、
どんな負けも許さない一流の顔にも見えた。
久保建英という人間としての魅力を、
たくさんの人が感じた号泣だったと思う。
そして、日本のサッカー少年を育てる
涙になったかもしれない。
自分の久保選手のようになりたい気持ちや、
久保選手をお手本にしている子も多いと思う。
そんな自分の目指す選手が、負けて号泣した。
強い向上心を持つ人を
「意識高い系」とくくってしまう日本では、
周りとうまくやっていくため、自分を抑えてしまいがち。
そうして凡庸な選手に落ち着いてしまうことがある。
でもそうじゃなくて、1つ1つの試合にかけることや、
とことん勝負にこだわることの大切さ、
感情を露わにすることが決して悪くないこと。
久保選手のようになるための姿勢を、
サッカー少年たちは感じ取ったんじゃないかと。
メダルの夢は未来の世代へ。
というか久保選手は次のパリ世代だから、
未来の選手でもあるんだけれど。