2014 J1第4節 勝者のいない試合(無観客試合について)

J1第4節、1-1の引き分けに終わった
「浦和×清水」の試合は、
Jリーグ史上初の無観客試合だった。

浦和ファンが第2節のホーム・鳥栖戦で
「JAPANESE ONLY」という、
人種差別的な横断幕を掲げたのを受けて、
その次のホームゲームだったこの試合に、
無観客試合が指定された。

中継が始まったときの、
静寂に包まれたスタジアムは、
寂しくて、物悲しくて、
今から試合が始まるとは思えないような、
熱のない場所だった。

これからずっと忘れられないし、
忘れちゃいけない試合になった。

■感情のない試合

無観客試合といえば、
2005年6月8日、中立地で行われた、
W杯アジア最終予選の北朝鮮戦。

この試合は、日本がドイツW杯出場を
決めた試合として、忘れられない。

そして、このイヤでも興奮する試合は、
観客の有無に関係なく、
試合前からテンションが高まっていた。

試合自体が「非日常」だったから、
無観客試合という「非常」な状況も、
あまり違和感なく見ていられた。

それが今回はJリーグという
「日常」の中での試合。
無観客試合は明らかに異常で、
そこに興奮なんて存在しなかった。

選手が試合後に話した通り、
練習試合のような雰囲気で、
熱さが感じられず、ぬるいわけでもなく、
なんていうか、冷たかった。

埼玉スタジアムっていう、
リアルで身近な場所から届く、
鮮明な映像だから、より物悲しかった。

観客の声援、喜び、落胆、ブーイングなどなど。
ピッチ内のプレーが生む熱を、
増幅してくれるのがそれらであって、
そういったすべてを合わせてサッカーだと実感した。

バラエティ番組に笑い声や
スタジオワイプのリアクションがないと、
盛り上がりに欠けるのと似てる。

練習試合のような、
華麗なパスワークもあったけど、
それはサッカーを観てるんじゃなくて、
風景を眺めているような気分だった。

選手や監督から熱い声が聞こえたけれど、
試合は、どこか無感情だった。

■問題の本質は「差別」じゃない

こんな試合は、二度と見たくない。

そして二度と問題を起こさないためには、
「人種差別の撤廃を訴える」ことだけじゃない。

今回、浦和ファンの起こした問題が、
たまたま「人種差別的な横断幕を掲げた」だったから、
差別撲滅の話ばかりが取り上げられるけど、
問題の本質は「ファンが暴走する環境があった」こと。

もちろん差別の撲滅は大事なことで、
絶対にあっちゃいけないことではある。

ただどうしてこんなことが起きたのかというと、
差別意識の問題はありつつも、
暴走するファンがいるということ自体に問題がある。

そして暴走するファンに対して、
「それはやっちゃいけない」と、
クラブが、周りのファンが、
言えなかったことが問題だと思う。

そういうヤバいファンに対して、
周りのファンは恐くて言えない部分もあると思う。
だから現実的には、クラブ側が一番に、
もっと厳しく対応しなきゃいけない。

そんな暴走するファンがいるのは、
浦和だけが抱える問題じゃなく、
他のクラブにもいえる。

これまで表沙汰にならなかったことも含めて、
各スタジアムで問題は起こっていたわけで。

これをきっかけに、
Jリーグの各クラブが厳しい態度で、
暴走するファンに対応してほしい。

それを多くのファンが望んでいると思う。

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