冴えないネルシャツ男と足を組む女

西新宿のカフェにて。

隣に座った40代男と20代女が、
こんな会話をしていた。

男「ブログを読みまして、すごいなと」
女「私はたいしたことないです。
  皆さんと同じようにやっているだけです」

冴えないネルシャツ男と、
言葉の謙虚さとは裏腹に、足を組んで話す女。

男「自営業をやっているんですが、もっと稼ぎたいんです」
女「全然稼げますよ」

男「でもホントに儲かるんですか?」
女「この商材は最初は儲からなくて、
  私も最初は正直しんどかったんですが、
  だんだん儲かるようになりました」

カフェでたまにある、この手のやりとり。
商材が何なのか、どう儲けるのか分からないけど、
男は助けを乞うかのように、
でも欲望を包み隠さず、はだけさせていた。

男「月50万はいきたいんです」
女「努力次第ですが、もちろん可能です」

ただ男はその内容に、
納得がいかない部分もあったらしく、
この場での契約を避け、
また会う約束をして話を終えた。

そして今日のレッスン料ということで、
男は女に、いくらかお札を渡した。

ちなみに帰り際。

男「では出ますか?」
女「いえ私は、ここで仕事してから帰りますので」
男「さすが忙しいんですね」

男が帰ると、女は紙ナプキンで
テーブルの水滴をきれいに拭いたあと、
2分ほどして店を出た。

この先は、時間の問題だろうと思った。

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