井上尚弥が先日のWBSS準決勝で、
2ラウンドTKO勝利。相手は戦意を喪失していた。
あまりにも強すぎる。
というか、デビューからずっと強すぎる。
ただ、日本中が熱狂する、
スーパースターになっていておかしくないのに、
世間の注目度はそこまで高くない。
衝撃TKO勝利が伝えられた夜、
21時からの録画中継視聴率は10.3%。
勝った試合は観たくなる心理を考えると、
録画を差し引いても、さほど高くない。
人気になるボクサーといえば、
どこか「逆境」や「歪さ」がある。
元不良やいじめられっ子など、
逆境から這い上がるバックグラウンドや、
辰吉のように不器用な生き方や戦い方の面白さ。
ならず者の更生物語は、
バラエティ番組の企画としても人気になったほど。
純粋なボクシングだけじゃなくて、
他でも戦っている様子に、多くの人が面白さを感じる。
でも井上は、技術、スピード、パワー、洞察力など、
すべてが最高レベルに洗練されていて、
技術的にまったくスキがない。
そして、ドラマもなく軽々と勝ってしまう。
試合後、顔には腫れも汗もない。
礼儀正しくて好青年、逆境から這い上がったわけでもない。
面白くないほどに、勝ってしまう。
今から6年近く前、井上は初のタイトルマッチ、
日本ライトフライ級王座に挑戦した。
試合の前日が、専属トレーナーでもある父の誕生日ということで、
井上はテレビの密着取材の中で、
磁気ネックレスを買い、父にプレゼントした。
父は、大喜びして涙を流した。
父はそのネックレスを試合でも首につけ、
試合後、息子は父に初のチャンピオンベルトを渡した。
親子の素敵な姿も、想像の範囲内だったりする。
こうなってくると、
日本人が大好きな「世界が認めた日本人」として、
世の中が気付くしかないのかもしれない。
そして生中継のWOWOWはスポーツ好きが見るからいいとして、
誰でも見られる地上波の放映権を持つフジテレビには、
世の中的に一体何の大会か分からない「WBSS」を、
もっと分かりやすく表現してほしい。
団体がたくさんありすぎて「世界一」だらけのボクシング界で、
世界一の中の世界一が決まる戦いということを、
もっと世の中に煽るとか…。
「ボクシング世界No.1決定戦」だったり、
「全人類の頂点を決める」みたいなサブタイだったり。
何らかの取り決めで、うたえない言葉もあるだろうけど。
決勝が日本で開催されれば、
勝手に盛り上がるのかもしれないけれど。